轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
「どこかで調べてもらえんかしら?」
「それがたいへんなのよ。今までどこへ行つても、もう少し待て、もう少し待て、ですもの」
「しかし、まあ、生きているということの手がかりにはなるわけだね」
「生きている……そうね、そう言えばそうだわ。たゞ、その生命のかぎをだれが握つているか、だわ」
ながい沈黙ののち、市ノ瀬牧人は、ひとりごとのように――
「そういうこともあるかも知れんが、浜島君なら大丈夫と思うがなあ。そんなことする男じやないもの。よく調べればきつとわかるよ」
「そんなこと言つて、あの人のこと、あんたよう知らんくせに……」
「いや、いや、会つたことは一、二度だが、うわさによう聞いとるに。詩も読んどるに。信州日々に、ほら、よう出しよつたもの」
「へえ、市ノ瀬さんも詩をよむなんてことがおありなの? うれしくなるわ」
「おい、おい、わしはこれでも昔は藤村の愛読者だでなあ。――小諸なる古城のほとり、か。今でもこんなもん暗しようしとるに」
「そんなもん、だれだつて暗しようしとるわ。でも、あのひとのものはまさか覚えておいでんなあ」
「白状すると、そのとおり。上手か下手かもわからなんだ。