轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひのとびら

火の扉

岸田 国士

「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页

青空文庫

「あら、おめずらしい……。どうしてらつしやるの、中園さん……?」

この中園と呼ばれた男は、服装だけではすぐに見当はつきかねるが、これも現役将校として最近までサーベルをさげていた夫一徳の後輩なのである。

「どうもそうじやないかと思つたんですが、奥さんが、あんまり知らん顔をなすつてらつしやるから、ちよつとまごつきました。いかゞですか、その後……? 井出大佐殿もお元気でしような」

隊附時代から、最近に至るまで、思い出したようにちよくちよく遊びに来る後輩の一人で、それほど頭はよくないけれども、勤務の上では模範的といわれる青年将校の部類であつた。

陸軍大学は一度失敗してあつさり思いきり、高射砲の実地方面をやつて、射撃指揮では折紙つきというところまで行き、自然、井出一徳とはわりによく話が合つた。

夫より三つ年下で任官は五年もおそく、そのうえ一方が大佐になつた時、まだ少佐でいた、この同連隊出身の後輩を、康子は時にはいくぶん軽く扱うようなふしもあるにはあつたが、いわゆる羽ぶりのいゝ出世組にくらべて、どこか「話のわかる」ところが気に入り、立ち入つたこともずけずけ言えるような気がしていた。