轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1931(昭和6)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 页

青空文庫

ふたりは、肩をならべて、我善坊の窪から市兵衛町へ出て、だらだらと霊南坂を降りて来た。

「お立寄りになる先は、八官町といわれたが、誰か、ご友人のお住居でもござりますかな」

「いや、ちと、調べたいことがあって、初めて参る屋敷です」

「ではやはり、何かのご詮議なので」

「と申しても、公のことではなく、もう七、八年来取りかかっておる個人的な探索なのです。大坂奉行所に勤めて、公禄を頂戴いたしている間は、そういう、私人的な依頼に応じて、自分の猟奇心を満たすような仕事にはあまり没頭されませんでしたが、今では禄を辞して、こういう自由な身になっておる某、これからは、大いにやろうと考えておる」

「それは結構なことじゃ。まったく捕物の探究ということも、ほんとは、お上の禄に縛られていては思うように働けませぬ。して、其許が七、八年の間もかかっておるその面白そうな探索とは、一体、どんな仕事でござりますな」

「丹波亀山の龍山公をご存じかの?」

「亀山の龍山公? ……お、あの、松平周防守殿のご隠居ではござらぬか」

「そうです」

「その龍山公がどうしたのですな」

「実は、拙者が一代の事業としている探索というのは、その亀山のご隠居龍山公から密かにご依頼をうけていることなのです」