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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
十一月六日
戸塚のおばあさんのお見舞に行ったらばね、おばあさんの方は、小さい溢血だったそうで舌ももつれず、手足もしびれず、ちょこなんと床の上に坐っていて、旦那さんが肺炎のなりかけで熱出して、胸ひやしてフーフー云って臥て居りました。あっちの細君は四国巡回の講演です、銃後奉公の。では明日ね。
十一月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十一月六日 第四十八信
国府津のには番号がぬけましたが四七に当るわけね。
さて、いかが? 十月は仕事の仕度をしなくちゃならないと思って気を張って、いくらか手紙御無沙汰になってしまいました。
かえって来てみると、国府津では今度本当に休んで来たことを感じます。丁度いろいろと疲れが出る頃、足かけ四日バタバタしながらものんびりして、頭のなかがすっかり静かになって、きめのこまかい感じにしっとりして大変いい心持よ。こちらへ住むようになってから二ヵ月経って段々落付き、家族のもののいる中での日々が、やはり一人きりで二六時中気をはっている生活と、どこかで非常にちがって、少くとも今の自分には薬になっていることも感じはじめました。
あなたはそういうこと予想していらした?