轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
「新国民」1940(昭和15)年12月~1941(昭和16)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,801 字 · 86 页
三の三
「数年まえにも二度ばかり通って、案内はよく心得ております。思わぬ御迷惑をかけてなんとも申訳がございません。どうか御心配なくたたせていただきます」
「とにかく峠口までは家の者に……」
話声は廊下のかなたへ消えて行った。
――碓氷へかけて夜旅に出る。
伊兵衛はぐっと拳を握った。
三の三
日暮れの早い土地ではあり、ことにひどい吹雪で、山県大弐と東寿とが津田邸を出たのはもう家々に灯の入る時分だった。
津田家の若い家士が、前後に三人ずつ警護していた……風はやや力を弱めたが、粉雪はやむことを忘れたように降り続けていた。城下を出て富岡までの道は、ところどころ膝を没するほど積った場所があり、用水堀も田溝も見分けのつかぬ状態だった。
富岡で日はまったく暮れた。
警護の家士たちは、そこで宿をとるように勧めたが、大弐は笑って肯かなかった。そして六人を小幡へ帰らせてしまった。
「雪も夜旅も、兵法を学ぶ身には得がたき修業の道具です。歩けなくなったら岩蔭にでも夜を明かしましょう。大弐四十二歳の体がどれだけもつか、試してみるのも一興です」
そう云って笑った。
二人になった主従は、荒涼と雪に昏れた道を板鼻へと向った……しかしそのうしろから、あいだ二十間ほど隔てて、伊兵衛が追って来るのに気付いていたかどうか……伊兵衛は先に鍋川の渡を越して待ち