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よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
「新国民」1940(昭和15)年12月~1941(昭和16)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,801 字 · 86 页
二の四
しかし道之進は今はっきりと相手の名をあげた。彼は、来るべき時が来たことを感じたからである。
「そうだ、おそらく彼であろう」
頼母は頷いた。
二の四
「いましがた、鬼鉾山から四人の死体が運ばれて来た。猟に出ていた功刀伊兵衛と、紙屋十郎兵衛、斎藤孫次郎の三名がみつけたのだ。悪いことに孫次郎は去年の春まで江戸勤番であったから、死んだ四人も見知っている。また七名のうち三人は、手傷を負ってどこかに潜んでいるようすだ」
「孫次郎を黙らせ、表沙汰にならぬよう始末をしませぬと、乗ぜられる口実になりますな」
「それで、そのもとに江戸へ立ってもらいたい」
「御方策がございますか」
「七人の者が当地へまいるについて、国許へは届出が出ておらぬ。これが唯一の材料だ。七人の者を脱藩私闘の名目で、処置してきてくれ」
「それは……大任でございます」
「そうしなくてはならん。ぜひそうしなくてはならんのだ。吉田玄蕃にはべつに書状を書くから、彼と談合してやってくれ」
「松原どのは一筋ならぬ人物、たやすくはまいるまいと存じますが、できるだけ押切って仕ります」
なお細々とした打合せを終って、立とうとした道之進はふと思出したように、