轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
「新国民」1940(昭和15)年12月~1941(昭和16)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,801 字 · 86 页
六の二
功刀……拙者が正身の来栖道之進にかえるのは、一日のうちただ眠っているときだけになってしまった。あとは拙者じゃない、噂や人望が拵えあげたまったく別な人間だった。拙者には苦しく、重荷で、辛い辛い別の人間の生活だったんだ」
肺腑を絞る声であった。道之進は、面を蔽って泣いた。
「こうなるともう、化けの皮の剥げるまで欺瞞を続けなければならない。しかしいつかはそれが明るみに晒される。いつかは曝露するときがくる。いつくるか、どんなかたちで……拙者の頭にはいつもその恐怖があった、独りになるといつもその恐怖で震えていたんだ」
「拙者は山県先生を売った、津田国老の信頼を裏切った、貴公をも、佐和どのまでも裏切った」
道之進はおのれを鞭打つように続けて云った。
「生きている以上、おれはこの陋劣な行為をどこまでも続けなければならぬ。功刀……斬ってくれ、それが朋友の慈悲だ」
六の二
噎びあげる道之進の声のなかに、ぱちんと大剣を鞘へ納める音がした……そして伊兵衛が、
「それだけ聞けばいい」
と抑えたような声で云った。
「おれはきさまを斬るつもりだった。けれどそれ以上にきさまの本音が聞きたかった。