轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけのつじ

夜明けの辻

山本 周五郎

「新国民」1940(昭和15)年12月~1941(昭和16)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,801 字 · 86 页

青空文庫

「功刀どのは拙者の新論を読まれましたか」

「読みません。先夜の講演を聴いたのみです」

「それでもけっこう、あれを聴かれたら改めてお訊ねにも及ぶまいと思うが」

「いやお訊ね申さなくてはならぬ」

伊兵衛は大弐の眼を見返して云った。

「山県どのの説は幕府を誹謗し、名を尊王に托して世人を過つものだと思う。あなたは『得一』の説において禄位二つに別れるは乱世の基なりと云われた」

「お待ちなさい」

大弐は静かに制した。

「ここで新論の末節を論じたところでいたしかたはない。そんな議論は措いて、根本のことを考えてみてはどうです」

「根本のこととは」

「我々はいったい何者なのか、我々の立っているこの国土はどういうものなのか、それをまず検めてみましょう……功刀どの、我々は大和の民です。日本という国土に生れ、一天万乗の天皇を戴いている、この点にあなたの御異存がありますか」

「それは山県どののお言葉どおりです」

「ではなんの議論もないはずです……拙者の選した『柳子新論』は、けっきょくそれを明らかにしただけのことです。人間は愚なもので、余りに分りきったことがらは眼に見ず、耳に聞こうとしません。