轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页

青空文庫

お粂ものがれたようすだったのに、安心をして引き上げたが、衣裳はズタズタに裂けているし、手足からは血汐が流れているし、乱れた髪は顔へかかっているし、それに途中の用心として、脇差しは持って行かなければならない、その脇差しは血に塗られている――、金兵衛の姿は物凄かった。で、大通りなどを通ったならば、人に咎められる恐れがあり、咎められては危険であった。で、あちこちとまわり道をして、露路や横丁をくぐり抜けて意外に時を費して、今ようやくこの屋敷の前へ、たどりつくことができたのであった。

見れば一人の老人が、門の裾のあたりにうずくまって、抱き膝をして眠っている。「酒にでも酔っているらしい。それにしても道端で眠るとは、のん気至極の老人ではある」こう思って金兵衛はおかしかったが、その老人の眠っている前の、往来の上に白々と月の光に照らされている、巻いた紙と綴った紙が、風にあおられて置かれてあるのを見るや、疑念を起こさざるを得なかった。「なんだろう?」と口の中でつぶやいたが、老人の正面へ歩いて行って、老人との間へ二品をはさんで、金兵衛はそっとかがみ込んだ。巻き奉書の一部分が解けていて面を月が明るめていた。