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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
「朝日新聞」1928(昭和3)年8月26日~1929(昭和4)年2月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 267,766 字 · 530 页
昼が永遠につづくように。……夜は女の領分なのだよ! 歯朶の葉が人間の丈よりも高く、獣皮の天幕で女王様が、男を召したころから! 夜になるとそのころの荒野の洞窟に、住居をしていた占術家の魔女が十三の髑髏の盃の中へ、いろいろさまざまの草や木や石や、生物から採ったお酒を盛って、妾の所へ来るのだよ。何で妾が飲まないことがあろう。飲むと妾は甦るのだよ。呼吸に身体に心持ちに、太古の女王様が甦るのだよ。誰であろうと妾を止めることはできない。止めた人へは笑ってやる。するとその人はのがれてしまう。誰であろうと妾をさえぎることはできない。さえぎった人へは睨んでやる。するとその人は逃げてしまう。お父上であろうと母上であろうと、兄弟であろうと役人であろうと! だが妾はさえぎらないのだよ。どうして、そうなのか知らないのだよ。魔女が教えてくれただけだよ。『誰も彼もが持っているものをお前へ強くくれたばかりだ』と。『お前は永遠の女性なのだから、永遠の男性を見付け出すまでは、そういうことをしてもよい』と。おいで! さあ、ここへおいで! なんだか妾には思われるよ! お前こそ妾の見付けていた魔女のいった永遠の男なのだと! おいで、さあここへおいで!」