轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

空気が薄くなっているために呼吸が苦しい、胸膈が圧されるような、ふくらむような妙な具合である。

――あの娘はどうするだろう、頭はそのことでいっぱいだった。眼さきにはいつまでもその姿がちらついていた。あの男はたいした人物ではない、というよりもありふれ過ぎた人間だ、あの程度の浅薄な、無反省な尊王攘夷論者がうろうろするために、却って正しい道の進展が阻害されようとさえしている、それはまさにそのとおりだが、しかしとにもかくにも大義を口にすることだけは嘘ではない、あの男が第一流の人物ではない、といったところで、それはあの男の責任ではないからな、浅薄でも無反省でも、あの男はあの男なりに大義を解し、道に向って闘っているんだ、……しかも余命はいくばくもない、あの男に万一のことがあれば、娘は誰を頼りにすることもできないんだ。

――いやいかん、断じていかんぞ! 大助は決然と立ちどまった。

「早水さん待って呉れ」

「…………」

「わたしは戻るよ」吹きこむ粉雪に噎せながら、大助はまるで挑みかかるように云った、「あの二人をあのまま残してゆくのは人情を知らなすぎる、わたしにはできない、早水さん、あの男は長い命じゃない、あんたも戻ってひと休みしていっては……」