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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页
を考えた、日本人の死のふしぎさを考えた、『この次の世には』という、転世の信念のふしぎさを、……いまここにその例にぶっつかっている、おれはむしろその女の死を褒めてやりたい気持だ」
「そのことはたしかです」大助は手紙を封におさめながら云った、「だが……やっぱり哀れな、一生ふしあわせな女だった」
「柿崎という人をどうする」
秀之進がふとそう云った。
「困った、この手紙では江戸へ帰ってもしようがないし、といってほかにどうしたらいいか……知恵はないか」
「つれてゆこう」そう云われて大助は秀之進を見かえした。そして、かれが一刻ほど歩いて来たのは、そのことでなにか考えるためだったということに気づいた、「高松にひとところ落ち着き場所がある、問題なのはゆき着くまでだが……さしあたり大さんがつれて、此処をさきにたちたまえ」
「わたしが、だってそれじゃあ」
「新島と探索共はおれがひきうける、出立は今夜半がいい、そうきめよう」
そしてわれわれも昼のうち寝ておくほうがいいと、秀之進はてきぱき独りできめてしまった。……高松に落ち着き場所がある、それはいったい何処だろうか、ちょっと考えると亀阜荘のようでもある、左近頼該の側へ侍女にあげるとすれば、尤もふさわしい落ち着きどころだろう、もうひとつは秀之進の養父、得石早水市左衛門である、古い郷士で、富ん