轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
前編「椿 創刊号」山本周五郎一人雑誌、1946(昭和21)年7月<br>中・後編「新青年」1949(昭和24)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,300 字 · 202 页
これらはみな家を建てるのにぜひ必要なものだ、勘さんはそれで商売にとり付こうと思ったのである。――材木問屋の梶平におさな馴染の友助という男が帳場をしていた、その男の手引きで現在の場所へ住居を建て、さっそく注文をとってまわったが、思ったよりうまくいって、半月ほど経つうちには「藁屋の勘さん」とすっかり名を知られるようになった。こうした事情をおせんが知ったのはずっとのちのことである、勘さん夫婦はごくしまった性分らしく、家で米を買っていながら施粥は施粥でちゃんと貰うし、おもても飾らず物の使いぶりも倹しい、商売が忙しくなっても人を雇うようすはなかった。……そんな風でいておせんの世話をよくして呉れたのは、下町人の人情もあるだろうが、火事で死んだお常の妹と年ごろが似ているそうで、それが夫婦の同情をひいたのだということも、かなり時日が経ってからわかったことであった。
おせんはごく僅かずつ恢復していった。まだはっきりとはしないが、勘さん夫婦と自分が他人であること、自分がなにか非常に不幸なめに遭ったこと、抱いている赤児が自分の子でないことなど、――そして困るのは夫婦の者がその子をおせんの実の子だと思っていることだった。