轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
「いや、ねえさんのそういうお気持がわかれば、ぼくにしたつて、なんにも言うところはありませんよ」
と、義弟は、つゝ放すように云つた。そして、奥に向つて、
「お母さん……ちよつといらしつてください」
しゆうとの乃婦は、ちよつと間をもたせて、姿をあらわした。
「だいたい、話はわかりました。ねえさんはあくまで親せきのやつかいにならずに自活の方法を立てると言われるんですが、その意味は、ぼくの理解したところでは、井出家の一員として今後なんらの束縛もうけたくないというお考えらしいんです。まあ、そのお考えのよしあしは別として、そういう決心をされているねえさんをですねえ、お母さんは、長男の嫁として、どう取り扱われますか? ぼくは、これは、ねえさん一個の問題としてでなく、井出家の問題として、はつきりさせなきやいかんと思うんです」
次男三則の、ひざを正してのこの言い分を、乃婦は、わざととぼけた顔つきで、
「へえ、それは初耳ですねえ。死んだ一徳が聞いたらなんていうか……」
「そんなこと、お母さん、むだなせんぎですよ。それより、大事なことはほかにあるでしよう? 兄貴の遺書は、かんたんにねえさんの自由を認めていますね……」