轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
それはそうと、たつた今、しゆうとはなにを言つたか? それに自分は何と答えたか? しゆうとはピヤノを売ることに反対なのか? それとも、新聞広告をしたことがわるいと言うのか?
「ちよつとひと言、相談してくれるとよかつたねえ。なにしろ……」
あとは、ぶつ/\と、よく聞えない。
「えゝ、そりやもうそれが当り前ですけれども、ほんと申しますとね、おかあさま、あたくし、てつきりお許しがでないものときめてましたの。まあ、それだけはとつてお置き、つて、そうおつしやるにきまつてると思いましたの。そういうお心持がわかつているだけに、あたくし、まあ、これは自分のためにあるものつていう意味で、勝手なまねをさせていたゞきましたのよ。ね、ですから、なんにもおつしやらないで、おかあさま……」
そう言い終つて、康子は、指の先でピヤノのそここゝにたまつたほこりをぬぐつている。
「あんたがその気なら、なにもこつちは反対することはないさ。たゞ、いきなりえたいの知れない男がやつて来て、お宅のピヤノは売物でしよう、なんて言われると、わたしや、ヒヤッとするからね」
この言い方は、明らかに効き目があつた。