轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
おれは、なるほど、ルンペンだ。しかし、たゞのルンペンではない。おれは居候かもしれん。しかし、たゞの居候とはわけがちがう。江原久作の芸術は、おれの霊感なくしては断じて実を結ばんのだ……」
手をたゝくもの、「しつかり、しつかり」と叫ぶもの、などがあつた。
「そんなら、おれも言つてやるが、この尾関というのは妙な男で、もと/\裁判官のむすこと来てるから、人を裁くのがむやみに好きなんだ。その結果、彼は恋愛というものをしたことがない」
「よけいなお世話だ。安手な恋愛に満足する手あいはそのへんにごろ/\している。おれは、生がいにたつた一度の、命をかけても惜しくないおれの恋愛のために乾杯する」
尾関は、どつかと床の上に腰をおろして、ビール・ビンを傾けた。
ギターをひきだすものがあつた。
ざわめきが次第に静まつて、みんながその音に耳をすましはじめる。
こうして、夜はふけた。
酔いつぶれた一人二人を残して、引上げることになつた。
尾関昇は北原ミユキを促して駅までみなを送ろうと言つた。
スギ林の中をまつすぐに通じる広い道路を、彼等二人は、いま帰つてくるのである。彼女はあまり口を利かない。