轻松读懂日语经典作品
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
「時事新報」1944(昭和19)年1月1日~7日、1月9日~2月25日、3月1日~3月5日、3月7日~3月8日、3月11日~3月15日、3月18日~3月21日、3月25日、3月27日~3月29日、4月1日~4月3日、4月7日~4月11日、4月15日~4月19日、4月24日~5月4日、5月6日~5月9日、5月13日~5月17日、5月20日、5月22日~5月24日、5月27日~5月31日、6月3日~6月8日、6月12日~6月17日、6月19日~6月22日、6月24日~6月26日、6月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,467 字 · 257 页
「無茶だね、先生の言うことは。そう頭ごなしに言わないで、ちやんと話をしたらどうだね」
「そりや、するわ、いくらでも……。たゞ、あなたがまじめに聞いてくれそうもないからさ」
そう言つて、彼女はちよつとさびしそうな眼つきをする。
「ほんとだ。人の話をまじめに聞かんのはよろしくない。しかし、先生の方にも、まじめに聞かせんようなところがあつたことはたしかだ。そこで、こつちは今度こそまじめに聞くによつて、なんでも話してみておくれんか」
「いやだ、そういうまじめはきらい、わたし」
「すると、どういうまじめがいゝんだろう?」
「知らないわ。まじめくさくないまじめよ」
「なるほど、わかりました。しかし、もう手おくれだよ、先生。こりや、どうにもならんよ。すべりだしがわるかつたもんで……」
二人は、そこで、ほがらかに笑つた。
丘の上に建つたI市からH村に通じる道はいくつもあつた。天竜の支流である松川の岸に沿つて東へくだる村道はいちばん人通りがすくない。その人通りのすくない道を、どちらかと言えば北原ミユキのほうが選んだ。だれがだれといつしよに歩いていたということが、すぐに教員室の陰口になる、その難を無意識にさける習慣がついているためである。