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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁
(「幽霊にされた女」参照)
平次は妙な事を言い出します。
「あの時捕まった一味のうち、轟の権三と人相見の観相院が牢破りをして逃出した」
「…………」
「その観相院が、隣の按摩そっくりだとは思わないか」
「あッ、眼をつぶっていたから気が付かなかった。なるほどそう言えば、あの野郎だ、しょっ引いて来ましょうか」
「待て待て、観相院は雑魚だ、それよりも大物を縛らせてやる」
平次がガラッ八を伴れて車坂の桔梗屋へ行ったのはもう夕方。
「親分さん、娘は戻って参りましたが、何を聞いても口を噤んで一と言も申しません」
父親の喜兵衛は狐につままれたような顔をしております。
「ちょいと逢ってみたいが――」
平次は奥へ通りました。
お藤は大したやつれもなく、母親に何かと口説かれておりますが、美しい顔を俯向けて田螺のごとく唇を閉じている様子です。
少し浮気っぽいにしても、全く抜群の美しさ、下谷小町と言われたのも決して嘘ではありません。
「お藤さん、――帰って来なすったそうだね、まア、いい塩梅だ、今度は文句なしに、湯島の山崎屋へ嫁に行きなさるだろう?」
「…………」
お藤はそう言われると、サッと顔色を変えて、激しく頭を振りました。