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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
橋の欄干としてどこにこんな橋があるだろう」
平次の問は第二段に進みました。
「両国ですよ、間違いはありません。擬宝珠の形で解りまさア」
「なるほど、両国かも知れない。――あの辺には見世物と水茶屋ばかりだが、道具屋のあるのを知ってるかい」
「知りませんよ」
「実はな、八、この手拭の染め模様が何かの符牒に違いないと思って、俺は五日考えたよ」
「ヘエ――」
平次の根の強さに、ガラッ八は洒落も出ません。
「お前は十二支と江戸名所だと言ったが、どうも、そうらしくもねえ。いろいろ考えた末、思い付いたのは、南部の盲暦だ」
「…………」
「奥州の南部には、字の読めない者に読ませるように、――絵で画いた暦がある。――禿頭に濁りを打って半夏と読ませる――と言ったような話を思い出して、俺はさっそく麻布の南部様御屋敷へ出かけたのさ」
「ヘエ、――暦はありましたか」
「あったよ、御用人にお願いするまでもないや、馬丁に知ってるのがあるから頼んで一枚貰って来た、これだ」
平次は半紙一枚に刷った、粗末な木版の盲暦を出して、見せました。刀の大小を並べたり、賽の目や、太鼓や、田植え笠や、塔や、いろいろのものを画いて、庚申は何月何日、社日は何時、彼岸は何日と判じて読ませるのです。