Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
其様な時には、村の子供が大喜悦で、キャッ/\騒いで泳いで居る。本当の畑水練である。農としては出水を憂うべきだが、遊び好きなる事に於て村の悪太郎等に劣るまじい彼は、畑を流るゝ濁水の音颯々として松風の如く心耳一爽の快を先ず感じて、尻高々とからげ、下駄ばきでざぶ/\渡って見たりして、其日限りに水が落ちて了うのを毎に残念に思うのである。兎に角此気まぐれな小川でも、これあるが為に少しは田も出来る。堤の萱や葭は青々と茂って、殊更丈も高い。これあるが為に、夏は螢の根拠地ともなる。朝から晩までべちゃくちゃ囀る葭原雀の隠れ家にもなる。五月雨の夜にコト/\叩く水鶏の宿にもなる。
八幡田圃を流るゝ田川の大きな方を、此辺では大川と云う。一間幅しかない大川で、玉川浄水を分った灌漑用水である。此水あるが為に、千歳村から世田ヶ谷かけて、何百町の田が出来る。九十一歳になる彼の父は、若い頃は村吏県官として農政には深い趣味と経験を有って居る。其子の家に滞留中此田川の畔を歩いて、熟々と水を眺め、喟然として「仁水だ喃」と嘆じた。趣味を先ず第一に見る其子の為にも不仁の水とは云われない。此水あるが為に田圃がある。