Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
――その時分わたしは、落語も講釈も義太夫も、すべてそうしたものの分らない低俗な手合のみの止むをえず聞くのが浪花ぶしだとおもっていた。そう思ってあたまからわたしは馬鹿にしていた。――ということはいまでも決してそうでないとはいわない……
(ついでながら、わたしの始終好きでかよった寄席は「並木亭」と「大金亭」だった。ともに並木通りにあって色もの専門だった。――色もの以外、講釈だの浄瑠璃だのとはごくまれにしか足ぶみしなかったわたしは、だから、吾妻橋のそばの「東橋亭」、雷門の近くにあった「山広亭」、「恵比寿亭」、そうした寄席にこれという特別の親しさをもっていなかった――が「山広亭」、「恵比寿亭」とおなじく、いまはもう「大金亭」も「並木亭」も、うちよせた「時代」の波のかなたにいつとはなしすがたを消した。残っているのは「東橋亭」だけである。)
いまでこそ「聚楽」をはじめ「三角」あり、「金ずし」あり、「吉野ずし」あり、ざったないろいろの飲食の場所をそこがもっているが、嘗ては、はえないしもたやばかりの立並んだ間に、ところどころうろぬきに、小さな、さびしい商人店――例えば化粧品屋だの印判屋だのの挟まった……といった感じの空な往来だった。