Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
七
永代橋を渡つて帰つて行くのが、堪へられぬほど辛く思はれた。いつそ明治が生んだ江戸詩人斎藤緑雨の如く滅びてしまひたいやうな気がした。」だのといわれたあと「ああ然し、自分は遂に帰らねばなるまい。それが自分の運命だ。ああ、河を隔て、堀割を越え、坂を上つて遠く行く大久保の森のかげ、自分の書斎の机には、ワグナーの画像の下に、ニイチエの詩ザラツストラの一巻が開かれたままに自分を待つてゐる……」と、先生、その作の最後を結んでおいでになります。
七
明治四十二年の二月といえば、文壇にまだ、自然主義の、陰気な灰いろの空気の根強くみなぎっていた時分でした。たとえばその年の一月には、小栗〔風葉〕さんの「耽溺」だの、田山〔花袋〕さんの「おし灸」だの、徳田〔秋声〕さんの「四十女」だの、正宗〔白鳥〕さんの「地獄」だのといったものが出ています。島崎〔藤村〕先生の「一夜」だの「伯爵夫人」だの「苦しき人々」だのというものもその一月の発表にかかります。そしてその二月、永井先生のその「深川の唄」の「趣味」へ出たときには、外に「中央公論」に徳田さんの「リボン」と小栗さんの奥さんの「留守居」