Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
二
――時間にしてその五分まえ「向島」の風情をことごとく否定していたその「建物」が、「向島」のいのちを無惨にうばっていたその建物が、いかにそこに力強く、美しく、寂しく生きていたことだろう。――実に、一沫の、近代的憂苦の影をさえその「眺め」はやどしていた……
むしろ茫然とわたしはそうした「隅田川」の一部をみふけったのである。
……その驚きである、そのよろこびである。――その驚き、そのよろこびに再びわたしは出会したのである。
二
「……そこに、まず、わたしたちは、かつてのあの『額堂』のかげの失われたのを淋しくみ出すであろう。つぎにわたしたちは、本堂のうしろの、銀杏だの、椎だの、槙だののひよわい若木のむれにまじって、ありし日の大きな木の、劫火に焦げたままのあさましいその肌を日にさらし、雨にうたせているのを心細くみ出すであろう。そうしてつぎに……いや、それよりも、そうした貧しい木立の間から山谷堀のほうをみるのがいい。――むかしながらのお歯黒のように澱んで古い掘割の水のいろ。――が、それにつづいた慶養寺の墓地を越して、つつぬけにそのまま遠く、折からの曇った空の下に、千住の瓦斯タンクのはるばるうち霞んでみえるむなしさを、わたしたちは何とみたらいいだろう?――眼を遮るものといってはただ、その慶養寺の境内の不思議に焼け残った小さな