Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

一年

を発見した歓びだった。……あらたかな観音さまをもつ「浅草」を感じえた歓びだった。……それほど、つねに、その塔は「浅草」にとっての重要な存在だった。

が、それにしても古い名所絵の、東都浅草公園図の、いまをさかりと咲き溢れた花の雲の上にそそり立ったその無器用なすがた。……いまにして、わたしに、その安価な絵空事がなつかしいのである。……なぜなら、むかしの浅草。……わたしのおもいでの浅草。……すくなくも、わたしの、十二三の時分までの浅草は、わたしにとって、いつもそうした春の所有だったからである。日の光はゆたかに、風の息づきはやさしく、柳の芽は青く、いつもそこに春の世界ばかりが展開されていたからである。……ということは、糸の切れた風船の、ゆらゆら立昇るそのかげろうの行方を追うわたしの眼に、うらうらとその十二階の、中ぞら遠くうち霞んでいた哀しい記憶が、いまなおわたしの胸にはッきり残っているからである。

(昭和七年)

一年

浅草は、おととしの十二月の三十一日と、去年の二月二十五日との空襲で手足をもがれ、三月十日のそれで完全にとどめをさされた。……ということは、その十日の日に、観音さまも焼ければ、吉原も灰になったから……