Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
五
ただその辰巳映画劇場のまえの往来なみにそこもまた矢っ張、人通りの以前にかわらず少ないことが……少ないというよりここでは全くそれのないことが、黄昏の、月の出汐の、二十余年まえのあのそういってもヒッソリした古いけしきをはッきりなお感じさせます。
「こんなとこに住んだら誰からも探しだされまい。」
たまたまそこに、水に臨んで、二けんならんで立てられた貸家……二けんともまだふさがっていない中古の二階家をみ上げて、ふッとわたくし、そうしたことを思いました。
が、そこを、一ト足その不動さまの境内に入ったとき……
五
曰くコンクリートのベンチ。
曰くコンクリートの藤棚。
曰くコンクリートの土橋。
曰くコンクリートの……
一ト足、不動さまの境内へ入ったとき、われわれのまえにあったのはそれらの施設でした。秩序ただしい植込、整然と小砂利の敷ならされた歩道、そうしたものを外輪にもった当世ようの小公園。――昔日の、梅ばやしのあった時分の閑寂なふぜいは、ただその植込の一部の、浅い茂りを透してみえる川の水、その水のうえを行くおりおりの船のかげだけにしか残っていない……ということをもう一つはッきりさせたものに、間もなくそこに展けた広っ場の光景がありました。