Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
六
――その、しずかな夢のような灯影こそ、そのあたりのおもいでを人知れず象徴するものだった。
六
「ただ、わたしは、親に給金を仕送るために女中奉公に出たおたみという女を、その女の不幸な生涯の世の中に向けて、だんだん、展けて行く筋みちを描こうと企てたばかりだった。――が、毎日一回ずつ書いて行くうちに、わたしは仮りにその舞台にとったわたしの生れたうちの来しかたがだんだん可懐しく思い返されて来た。わたしは思い出に浸りながら筆を遣った。――わたしのおたみを守る眼はともすれば、よしない雲霧のためにさまたげられた」と、嘗て「東京日々」に書いた「露芝」という小説を一冊にまとめたとき、そのあとに、わたしは、こうしたことをとくに書いた。
が、独りこれは「露芝」にのみとどまらない。――その以前にあって、わたしは、「ふゆぞら」を書いたとき、「盆まえ」を書いたとき、「さざめ雪」を書いたとき、「暮れがた」を書いたとき、「宵の空」を書いたとき、「ひとりむし」を書いたとき、「雨空」を書いたとき、「四月尽」を書いたとき、おなじく思い出に――生れたうちの寂しい思い出に浸りながら筆を遣った。