Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
食物店といってはその浪花節の寄席の横に、名前はわすれた、おもてに薄汚れた白かなきんのカーテンを下げた床見世同然の洋食屋があるばかりだった。――なればこそ、日が暮れて、露ふかい植木の夜店の、両側に、透きなくカンテラをともしつらねたのにうそはなかった。――植木屋の隙には金魚屋が満々と水をみたした幾つもの荷をならべた。虫屋の市松しょうじがほのかな宵闇をしのばせた。燈籠屋の廻り燈籠がふけやすい夏の夜を知らせがおに、その間で、静かに休みなくいつまでもまわっていた。……
「さがみやの露地」「浅倉屋の露地」ともにそれは「広小路」と「公園」とをつなぐただ二つの……という意味は二つだけしかないかなめのみちである。そうして「さがみやの露地」には、両側、すしや、すしや、すしや……ただしくいえば天ぷら屋を兼ねたすしやばかり目白押しに並んでいる。まぐろのいろの狂瀾のかげにたぎり立つ油の音の怒濤である。――が、嘗てのそこは、入るとすぐおもてに粗い格子を入れて左官の親方が住んでいた。その隣に「きくもと」という待合があった。片っぽの側には和倉温泉という湯屋があり煙草屋を兼ねた貸本屋があった。