Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
……その瓦屋根の危くすべりかけている瓦の間に伸びた雑草。……そのはかなく素枯れるであろう草のいのちにさえそぞろなおもいをさそわれるのがそのあたりの光景の身上だった。
香取先生のところへかようまえ、わたしは、千束町の三木先生のところの「夜学」にずっとかよっていた。三木先生というのはまえに浅草学校にいた先生で、そのあと、本所の江東学校へ転任した先生だった。けど転任してもやっぱり浅草にいて、もとの学校の生徒たちを相手に「夜学」をつづけていた。が、そのうち、どうした事情か急にそれを止してしまった。……ちょうどこっちの高等四年になったときで、中学へ行く入学試験の準備もそろそろしなければならず、ちょうどいいからその機会に、さっそくその香取先生のところへわたしはあがったのである。
だからわたしは、春から夏、夏から秋、秋から冬、そうしてまた冬から春、四季を通じて一年あまりそこへかよったのである。待乳山の裾をまわり、今戸橋をわたって、毎日その八幡さまの華表をうち仰いだのである。――が、いまにしてふり返って、わたしはわたしのその当時の記憶の、秋から冬にかけての、暗い、しずんた、寂しい色にばかりみちているのに驚くのである。