Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

祖母の手に育てられた弱虫のわたくしにはそれさえ許されなかった。……わたくしの、いま以て、夏、どこへも行く気になれず、またどこへ行かなくっても格別不思議に思わないのは、子供の時分のこの習慣に、いまなおわたくしのみ捨てられていない証拠である。

……四万六千日のあとに来るものに、両国の花火があった。

が、子供の時分、わたくしはそのために一度でも両国へ行ったことはなかった。川びらきの当日、わたくしは、あかるいうちから物干に上り、火の見にあがって、遠く両国の空にあがるその美しい光りをたのしむだけで不足をいわなかった。……これはしかし、東京に育った子供の大ていがそうではなかったろうか?

照りこみし空に花火のあがるかな

夕空にひかりみえ来し花火かな

わたくしのむかしつくったこの二句には、幾分でも、以上の如き感懐のこめてあるはずである……

そのころ、おなじくわたくしの作った、

あさがほをみにしののめの人通り

しのぶ買ふあさがほみての帰りがけ

あさがほをみていまかへる俥かな

以上の三句には「入谷のむかしをおもふ」という前書がついている。……両国の花火についてしるした事のついでに、一ト言、いまはむかしの、入谷のあさがおにも触れたいと思ったからである。