Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

に筆をやりつつ、「震災」の二字のあまりに不必要なことにひそかにわたしは驚いたのである……

が、前のものは――その逆に「古い浅草」は……

読者よ、わずかな間でいい、わたしと一緒に待乳山へ上っていただきたい。

そこに、まずわたしたちは、かつてのあの「額堂」のかげの失われたのを淋しく見出すであろう。つぎに、わたしたちは、本堂のうしろの、銀杏だの、椎だの、槙だののひよわい若木のむれにまじって、ありし日の大きな木の、劫火に焦げたままのあさましい肌を日にさらし雨にうたせているのを心細く見出すであろう。そうしてつぎに……いや、それよりも、そうした木立の間から山谷堀の方をみるのがいい。――むかしながらの、お歯黒のように澱んで古い掘割の水のいろ。――が、それに続いた慶養寺の墓地を越して、つつぬけに、そのまま遠く、折からの曇った空の下に千住の瓦斯タンクのはるばるうち霞んでみえるむなしさをわたしたちは何とみたらいいだろう?――眼を遮るものといってはただ、その慶養寺の境内の不思議に焼け残った小さな鐘楼と、もえたつような色の銀杏の梢と、工事をいそいでいる山谷堀小学校の建築塔と……強いていってそれだけである。