Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
下司の智慧はあとからで、いまとなってみれば、キマリのわるいことだらけである。――そうしたことを思いながら、そのとき以来はじめて、久しぶりで、わたしは、とに角にその大きな瀬戸物屋をもったやや狭い往来をめがけてあるいたのである。――が、一年のうちに、わずか一年のうちにこれはまた何という変り方だろう! 去年まだ、わずかにその指さきだけしかみせていなかった「区画整理」が、一年のあいだに全くその手を拡げ切ったのである。――ということは、「やや狭い往来」の道幅は、旧に倍して決してもうそんな、去年のような「狭い」といった感じをかんじさせなくなった。そうして、そのわたしたちが三島神社のほうから入ってそのまえで自動車を止めた、あぐねつくして、ものは試しと改めてその番地を訊きにぶつかった角の交番は、そこもまた以前よりだだッ広く拡った電車通りのコバのそろった家並の間にそのかげを潜め、「田村や」のあとの時計やは、去年と同じ店つきをみせていても「上清」のあとの葛籠屋は、今年はもうそこにその存在を消していた。――可懐しくその伊勢屋という酒屋の店の前を通りすがりに覗いたとき、去年それらの店の所在をわたしに教えてくれた其うちのおかみさんの、去年と同じ前垂形で、並んだ樽のまえに立ってぼんやり外をながめているのをわたしはみ出した。