Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
ある。――むかしからその位置にある聖天町の交番、それを真ん中に、山谷のほうへ、今戸橋のほうへ、二タ股にわかれた道の、後のほうのものの信じられないほど、野広くなったことにわたしは驚いたのである。――ということは、以前の、「河岸」に沿った「表通り」と「裏通り」と、二タ筋、そこにならんでいた往来の、その境界をなしていた家つづき――はえないその一ト側のあとなく綺麗に取ッ払われた――とばかりじゃないが、そういえば手ッとり早く感じが出る……と一しょにいままで「裏通り」の角だった材木屋の「松幾」が、店の向きをかえて「表通り」の角になり、同時にその整然と板材を立てかけたり簡素にがッしりした腰障子を閉てたりした、きわめて古風な建物をかぎりに、あとは「河岸」まで、つつぬけに、ガランと、はればれとそこに一めんの空地が拡っているのである。――そうしてそこに、立並んださびしい冬木のかげに、隅田川の水がまのあたりしらじらと、鈍く光りつつながれているのである……
いつかは出来る「隅田公園」の一部である。
「此奴ァいい」
おや? と、おもわずそう眼をみ張ったつぎの瞬間、わたしはすぐ立直って自分にいった。