Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
寄るな寄るな、寄っちゃいけねえ! やい、この棹が眼に付かねえか。二間半の黐棹だが俺が構えると槍になる。用心しろよ二つの眼を! 俺は眼ばかり狙うからな。もっとも時には足も狙う。だから足も気を付けるがいい。……やいやい抜け抜け! さっさと抜け! そうして景気よく斬り込んで来ねえ。太刀の筋目を見届けてやらあ。……おやおやどうしても抜かねえな。変に人焦しの野郎じゃねえか。……あ、柄から手を放しやがった」
「武田の家来で人を尋ねる? いったい誰を尋ねるのだ?」気味の悪い武士は静かに聞いた。
「尋ねる相手は俺の従兄だ」
「心当たりがある。名は何んと云う?」
「名かえ、土屋庄三郎だ」
「ははあ、そうか、あの男か」
「それじゃお前さん知っていなさるか?」
甚太郎は眼を丸くした。
「うん知っている。邂逅った事がある」
「いつ?」と甚太郎は一歩進んだ。
「数日前に。ある所で」
「そうしてどっちへ行きやした」
「本栖の湖へ行くと云っていた」
「有難え!」と甚太郎は、それまで構えていた黐棹を、ひょいと肩へ担いだが、間一髪の際を狙って武士は抜き打ちに斬り込んで来た。反わす間もなければ開らく間もない。