Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
コスモス
コスモス
今日は夏を憶い出す様な日だった。午後寒暖計が六十八度に上った。白い蝶が出て舞う。蠅が活動する。蝉さえ一しきり鳴いた。
今はコスモスの真盛である。濃紅、紅、淡紅、白、庭にも、園にも、畑にも、掃溜の傍にも、惜気もなく心を見せて思いのまゝに咲き盛って居る。誰か見に来ればよいと思うが、終日誰も来ぬ。唯主人のみ黄金の雨と降る暖かい秋の日を浴びて、存分に色彩の饗応に預かる。
たま/\屋敷下を荷車挽いて通りかゝった辰爺さんが、
「花車の様だね」
とほめて通った。
庭内も、芙蓉、萩、蓮華つゝじは下葉から色づき、梅桜は大抵落葉し、ドウダン先ず紅に照り初め、落霜紅は赤く、木瓜の実は黄に、松はます/\緑に、山茶花は香を、コスモスは色を庭に満たして、実に何とも云えぬ好い時候だ。
夕方屋敷の南端にある欅の切株に上って眺める。日は何時しか甲州の山に落ちて、山は紫に匂うて居る。白茶色になって来た田圃にも、白くなった小川の堤の尾花にも夕日が光って、眼には見る南村北落の夕けぶり。烏啼き、小鳥鳴き、秋静に今日も過ぎて行く。東京の方を見ると、臙脂色の空に煙が幾条も真直に上って居る。