Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
入営
玩具など幌の扇骨に結いつけてある。今日は十一月の十五日、七五三の宮詣でに東京に往った帰りと見える。二台の護謨輪が威勢の好い白法被の車夫に挽かれて音もなくだら/\坂を上って往って了うと、余はものゝ影が余の立つ方に近づきつゝあるに気づいた。骸骨が来るのかと思うた。其は一人の婆であった。両の眼の下瞼が悉く朱に反りかえって、椎の実程の小さな鼻が右へ歪みなりにくっついて居る。小さな風呂敷包を頸にかけて、草履の様になった下駄を突かけて居る。余は恐ろしくなって、片寄って婆さんを通した。今にも婆さんが口をきゝはせぬかと恐れた。然し婆さんは、下瞼の朱く反りかえった眼でじろり余を見たまゝ、余の傍を通り過ぎて了うた。程なく雑木山に見えなくなった。
余は今しがた眼の前を過ぎた二つの幻の意味を思いつゝ、山を見ることを忘れて田圃の方へ下りて往った。
(大正元年 十一月十五日)
入営
辰爺さん宅の岩公が麻布聯隊に入営する。
寸志の一包と、吾れながら見事に出来た聖護院大根を三本提げて、挨拶に行く。禾場には祝入営の旗が五本も威勢よく立って、広くもあらぬ家には人影と人声が一ぱいに溢れて居る。