Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
草葉のささやき
二百円
十月の末、八十六の父と七十九の母とが不肖児の田舎住居を見に来た時、其前日夫妻で唖の少年を相手に立てた皮つきのまゝの栗の木の門柱は、心ばかりの歓迎門として父母を迎えた。而してタヽキは出来て居なかったが、丁度彼の誕生日の十月二十五日に浴室の使用初をして、「日々新」と父が其板壁に書いてくれた。
斯くて千歳村の一年は、馬車馬の走る様に、さっさと過ぎた。今更の様だが、愉快は努力に、生命は希望にある。幸福は心の貧しきにある。感謝は物の乏しきにある。例令此創業の一年が、稚気乃至多少の衒気を帯びた浅瀬の波の深い意味もない空躁ぎの一年であったとするも、彼はなお彼を此生活に導いた大能の手を感謝せずには居られぬ。
彼は生年四十にして初めて大地に脚を立てゝ人間の生活をなし始めたのである。
草葉のささやき
二百円
樫の実が一つぽとりと落ちた。其幽な響が消えぬうちに、突と入って縁先に立った者がある。小鼻に疵痕の白く光った三十未満の男。駒下駄に縞物ずくめの小商人と云う服装。眉から眼にかけて、夕立の空の様な真闇い顔をして居る。
「私は是非一つ聞いていたゞきたい事があるンで」
と座に着くなり息をはずませて云った。