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Japanische Klassiker mit Furigana

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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は水中を泳ぐ様に歩いた。紫色や桃色の電がぱっ/\と一しきり闇に降る細引の様な太い雨を見せて光った。ごろ/\/\雷がやゝ遠のいたかと思うと、意地悪く舞い戻って、夥しい爆竹を一度に点火した様に、ぱち/\/\彼の頭上に砕けた。長大な革の鞭を彼を目がけて打下ろす音かとも受取られた。其度に彼は思わず立竦んだ。如何しても落ちずには済まぬ雷の鳴り様である。何時落ちるかも知れぬと最初思うた彼は、屹度落ちると覚期せねばならなかった。屹度彼の頭上に落ちると覚期せねばならなかった。此街道の此部分で、今動いて居る生類は彼一人である。雷が生き者に落ちるならば即ち彼の上に落ちなければならぬ。雷にうたれて死ぬ運命の人間が、地の此部分にあるなら、其は取りも直さず彼でなくてはならぬ。彼は是非なく死を覚期した。彼は生命が惜しくなった。今此処から三里隔てゝ居る家の妻の顔が歴々と彼の眼に見えた。彼は電光の如く自己の生涯を省みた。其れは美しくない半生であった。妻に対する負債の数々も、緋の文字をもて書いた様に顕れた。彼は此まゝ雷にうたれて死んだあとに残る者の運命を考えた。「一人はとられ一人は残さるべし」