Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

七

喜んで出したぜ。君のような女には、そうするのが一番君を……」

侮辱することになるのだと、言いかけた時、玄関から若い女の声が聴えて来た。

「乗竹さんいらっしゃるでしょうか」

陽子だった。

七

春隆を訪ねて来た陽子の玄関の声をきいた時、章三はなぜかはっとした。

しかし、なぜはっとしたのか、その理由はあとで判ったが、その時は判らなかった。いや、自分がはっとしたことすら、気づいていたかどうか。

「聴いたような声だな」

という、しびれるような懐しさも、はっきり意識の上へは浮び上っていなかったようだ。

「乗竹というと、あの乗竹……か」

侯爵の乗竹とちがうかと、章三はきいた。そうよと、貴子はすかさずいったが、

「侯爵よ。侯爵の若様よ。いやな奴よ」

と、畳みかける口調がふとぎこちなかった。

「来てるのか」

「いやな奴よ」

「いやな奴テ、どないいやな奴っちゃ……?」

「へんな女なんか、連れ込んで……。今来たのがそうよ。男は三十過ぎなくっちゃ、だめね」

自分でもそれと気がつかぬ女の本能から、貴子は章三の手前、春隆をやっつけていたが、しかしまんざら心にもないことをいっているわけでもなかった。