Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

兵馬は寝返りを打ちながら、こんなことを考えているうちに、廊下がミシと鳴るのを感じました。

五十九

「ああ」

そこで、兵馬は胸が燃えるような熱さを感じました。

ああ、それ、今も気にかかるその人が、今晩という今晩、ここまで忍んで来られたのだ。ああ、正直のところ、自分はこの誘惑に勝てるだろうか。

あの奥方――ではない、お部屋様、あの婦人がここへ入って来たら、どうしよう、声を出して恥をかかせるわけにもいくまい、そうかといって……

ああ、困った、絶体絶命、兵馬は、もう全身が熱くなって、ワナワナとふるえが来ているようです。

果して、ミシミシと廊下に音が続いてする、中の寝息をうかがっているものらしい、あ、障子の桟へ手をかけた。

どうしよう、この誘惑に勝てようか、勝てても勝てなくても、今は絶体絶命だ。こういう時に、兵馬はいつも堅くなってしまって、動きの取れないことがおかしいほどです。

兵馬には、来るものを取って食うだけの勇気はない。そうかといって、それを叱り誡めて、恥をかかせて追い返すほどの非人情も、発揮ができない。

禅の心得とかなんとかいうものが、こんな時に、さっぱり役に立たないのは、かえって、なまじいにそれにひっかかるからだ――兵馬はある先賢が旅宿で、主婦から口説かれたのを平然として説得してかえした