Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
そこで、
「待て!」
と、自分も宙を飛んで、それに追い縋ったものです。
「お赦し下さい、怪しいものではござりませんで」
「怪しいものでなければ、なぜ逃げる」
「意気地の無い人間でございますから逃げやんした、おゆるし」
「赦すも赦さんもない、お前が怪しいものでさえなければ、逃げる必要もないのだ、こちらも、お前が逃げさえせねば捕えはせぬのだ」
兵馬は瞬く間に追いついて、この怪しいものを膝の下にねじ伏せて動かすまいとしたが、同時に気のついたのは、こいつがグショ濡れであることです。
「おゆるし下さい」
「いったい、お前は何者だ」
「私は屑屋でございます」
「屑屋?」
「はい、紙屑買いでございます」
「紙屑買い――商売とはいえ、時刻が早過ぎる、それにお前の身体はぐしょ濡れだな」
「ちょっと、早出する用事がございまして、これへ通りかかりますると、あなた様方が、ここにお見えでございましたから、避けようとして溝へ落ちましたので、遠慮を致して隠れておりました」
「そんなに遠慮することはあるまいに」
と言いながら、兵馬は篤と見ると、頭から着物そっくりぐしょ濡れになってはいるが、御膳籠は放さない。