Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
「与八かたみのこと」
と紙包のおもてに記してある。しかもそれは、先代弾正の筆に紛れもない。与八も奇異なる思いをしながら、それをほどいて見ると、守り袋が一つと、涎掛が一枚ありました。その守り袋を開いて見ると臍の緒です。紙包の表に書いてある文字を、お松が早くも読んでみると、
「与八さん――これは、お前さんの臍の緒ですよ。まあ、ここに生年月が書いてある、生年月ではない、何月何日、武蔵野新町街道捨児の事……与八さん、この涎掛がその時、お前さんがしていたものなのよ。御先代様が、こうして丹念に取ってお置きになったのを、お前さんに見せる折の無いうちに、お亡くなりになったものと見えます。今日になって、これが出て来たのも、本当に因縁じゃありませんか」
「ああ、そうだったか――」
与八は、染色のあせた涎掛を、お松の手から受取って、両手で持ったまま、オロオロと泣き出しました。
それから三日目、村人や教え子が寄り集まって、留別と送別とを兼ねたお日待でしたが、いずれも事の急に驚いて、泣いていいか、笑っていいか分らない有様です。
「末代までも、この地にいておもらい申すべえと思ったに、こうして急にお立ちなさるのは、夢え見ているようでなんねえ」