Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、浴槽につかっても、今日は窓越しに青天のうららかさを見ることもできず、白骨の朝日に映ゆるのを眺むることもできず、いわゆる天日を晦くして灰が外に降り籠めているのに、湯壺の底までが時々鳴動してくるものですから、湯の中にもいたたまれないで、期せずしてみんな炉辺へかたまって淋しい笑みを湛えてみたり、途切れ途切れに人の噂をしてみるくらいのものです。その噂も北原君らのことが主になるが、北原も平湯にいることは確実だから、その恐怖被難に於て、我々に劣らないものだということになると、思いやりもまた暗くなるばかりですが、その時、つい近くの入口の戸をトントン叩いたものがありましたから、またゾッとせざるを得ません。ところが外で案外のんびりした声で、

「おあけ下さい、鐙小屋の神主でございますよ」

ははあ、鐙小屋の神主さん、そのことは忘れていた。その心細い程度に於て北原君よりもいっそう――気の毒千万、さすがの行者も心細くなって、ここをめざして降る灰の中を身を寄せて来たのだ。

十二分の同情をもって入口をあけてやると、果して、鐙小屋の神主が蓑笠でやって来たのです。蓑笠も灰でいっぱいですけれども、その被りものを取去った神主さんの面は相変らず輝いたもので、実に屈託の色が見えなかったことは、この際、一同をしてさすが神主さん――と感心