Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
――あらしのような拍手のうちに、香取先生は、しずかに謙遜にそのテーブルのまえにすすんだ。
……ふたたび喝采は起った。
が、わたしは、決してわたしはそれに同じなかった。決して一しょになって手をたたかなかった。――なぜなら、わたしは、先生をその「喜劇」の中の一人の役者にするに忍びなかったから。……いいえ、わたしは、それを先生がうけとらなければいいとさえおもった。
記念品贈呈ということは「有難くいただけ」ということだろうか?「もらって貰う」ことじゃないのだろうか?――出来のよかった生徒の褒美をもらう立場を、この場合、先生のうえにみ出す必要はみじんもないはずである。……
わたしは寂しくなった。先生の謝辞のすむのをまって、わたしは、ちゃァちゃんにも、中清君にも、直ちゃんにも、井原君にも、わかれをつげないで一人外へ出た。……日曜の午後の出さかった仲見世の人波のうえにあかるい六月の日が眩しく照りわたっていた。
そのあと二十分、わたしは待乳山の裾をまわり、今戸橋をわたって八幡さまの華表の下に立っていた。――いまはすべてそのあたり「隅田公園」の敷地の、漫々とした水にのぞんだ一めんの広っ場には、すがすがしい雑木のむれが、濃い日のいろを浴びつつしずかに枝をまじえている。