Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
と信玄は審しそうに訊いた。
「昨夜甚太郎私に向かいこのようなことを申しました。――明朝宝蔵を開きますよう。楯無しの鎧は甚太郎めが盗み取りましてござりますと……」
「あっ」信玄は皆まで聞かず驚きの声を筒抜かせた。この時初めて昨夜の約束を稲妻のように思い出したのである。信玄は足でも焼かれたように茵を蹴って飛び上ったが、日頃の沈着も忘れたかのように宝蔵の方へ走って行った。
扉を開けるのももどかしく宝蔵の中へ踏ん込んで見ると、外光を受けて仄かに明るい蔵の奥所の一所に、楯無しを納めた櫃があったがそれに体を倚せかけながら、手に火の点いた種ヶ島を握り、大胆にも筒口を信玄へ向け、小気味の悪い三白眼をさも得意そうに光らせた高坂甚太郎が坐っていた。
「殿!」と甚太郎は声を掛けた。「種ヶ島の強薬、鎧櫃にぶっ放しましたら楯無しは微塵に砕けましょう。殿に向かって打ち出しましたら殿のお生命もございますまい。私に力さえありましたら楯無しは持ち出したでございましょうよ」
「さりとはさりとは呆れた奴! どこからはいった? どうしてはいった?」
「私から見ますればお館などは、それこそ隙だらけでございますよ。