Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうかい、お家の大事とあっては放ってもおけまい、どりゃ」

腰を伸ばすと、ちょうど向うから中年の立派な武家が一人、何の所在もなくフラリとこっちへやって来るのを見かけました。

「あッ、桜庭様、ちょうどいいところでございました。この人が、お家の大事とやらを持って来なすったようで、裏門に立ちはだかって、滅茶滅茶に小鼻を脹らませていますが」

「何? お家の大事? 聴き捨てならぬ事じゃ。拙者は桜庭兵介、当南部藩の家老職を勤めおる者――」

ズイと出ました。思慮も分別も腕も申分のない武家に圧倒されて、ガラッ八の八五郎はツイ二三歩引下がりました。

「ヘエ、手前は八五郎と申しまして、ケチな野郎でございますが、南部兵糧丸の七味はよく存じております。人参、甘草、苡仁、それに胡麻と松の甘皮、――そこまでは誰でも解るが、残りの二味がむつかしい」

「何を言われるのじゃ、とんでもない。南部兵糧丸は、一藩の秘密で処法は御国許宝蔵に什襲してある。拙者ごときの知るところではない」

桜庭兵介もすっかり煙に巻かれた形です。

「御家老のお前さんも御存じがない。ヘエ――、すると、残る二味を申上げても一向面白くはないわけで」