Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme
「おのれ、逃してなるものか」
その間僅かに三十歩、平次が道の角へ飛付いた時は、逃げ行く女の姿はなくて反対に、近所の者らしい娘が一人、向うから来てハッと平次に鉢合せしそうになりました。
「あッ」
二人は危うく飛退きました。
「ちょいと伺いますが、今こちらから逃げて行った若い女を見ませんか」
「いいえ」
女はニッコリしたようでした。狭い道を、平次とすれすれに通って、向うへ行こうとするのを、
「待った」
平次は後ろから帯際を取って押えました。
「あれッ」
「騒ぐな、お前は風太郎と言われる曲者に相違あるまい」
「エッ」
「逃げる振りをして、逆に取って返した手際は、尋常の者には出来ない事だ、それに、お前の声に覚えがある」
春木町の上総屋の帳場で、平次はこの女の声を一度聞いているのでした。
「いいえ違います」
「神妙にしろ」
銀磨き朱房の十手は、平次の手にキラリと光りました。
「ガラッ八来い、捕ったぞ」
「おッ、そいつは有難え。この上夜露に打たれると、人間のカキ餅が出来そうだ」
ガラッ八は表の草叢の中から飛び出して、忠実な犬っころのように駆けて来ました。
「いよう、こいつは大した代物だ、風太郎てえのはこの新造ですかい」