Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.179 Zeichen · 280 Bildschirme
下女は隠し切れません。
「それじゃもう一つ訊くが、夜中に隠居が呼んだ時は、誰が行くことになっているのだえ」
「お神さんか、お染さんか、でなければ私が行きますよ」
「久三郎や万吉は?」
「滅多に行きません。どうかすると、番頭の和助さんが夜中でも隠居所から呼出されることもありましたが」
下女は何の巧みもなく言うのです。あの物の影のような和助が、夜中に隠居所へ行く図を考えると何がなし、不気味なものを感じさせるのでした。
隠居所は、母屋の裏手に突き出して建てた二間で、主人の勘五郎に案内させて、縁側の下に拵えた穴倉も見せて貰いましたが、そこはかつての麹室か何かであったらしく、穴倉と言うほどの大袈裟なものではなく、その上、蜘蛛の巣と埃だらけで、何年にも物を入れた様子はありません。
「五千両とかの大金は、ここに置いてあったのだね」
平次は当り前の事を訊きました。
「この穴倉にあるものと思い込んでおりました」
主人の勘五郎も覚束ない様子です。
「家中の者は、皆んなそう思っているのだね」
「ヘエ――」
勘五郎の返事を背後に聴いて、平次は穴倉の中に入って行きました。入口の石の上に、したたか蝋涙が滾れているだけ、穴倉の中には、埃が一寸ほども積って、人の入った様子などはなかったのです。