Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
庭の主貌した赤松の枝から、時々サッと雪の滝が落ちる。
「今夜も降りますよ」
斯く云いすてゝ妻は鶴子と立って往った。
余は風雪の音を聞き/\仕事をつゞける。一枚も書くと、最早書く文字がおぼろになった。余はペンを拭いて、立って障子をあけた。
蒼白い雪の黄昏である。眼の届く限り、耳の届く限り、人通りもない、物音もしない。唯雪が霏々また霏々と限りもなく降って居る。良久しく眺める。不図縁先を黒い物が通ると思うたら、其は先月来余の家に入込んで居る風来犬であった。まだ小供※(二の字点、1-2-22)※(二の字点、1-2-22)した耳の大きな牝犬で、何処から如何して来たか知らぬが、勝手にありついて、追えども逐えども去ろうともせぬ。余の家には雌雄二疋の犬が居るので、此上牝犬を飼うも厄介である。わざ/\人を頼んで、玉川向うへ捨てさせた。すると翌日ひょっくり帰って来た。汽車に乗せたらと謂って、荻窪から汽車で吉祥寺に送って、林の中に繋いで置いたら、頸に縄きれをぶらさげながら、一週間ぶりに舞い戻った。隣字の人に頼んで、二子在の犬好きの家へ世話してもらうつもりで、一先ず其家に繋いで置いてもらうと、長い鎖を引きずりながら帰って来た。