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Japanische Klassiker mit Furigana

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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

唯見ると、玉川の上流、青梅あたりの空に洋墨色の雲がむら/\と立って居る。

「夕立が来るかも知れん」

「然、降るかも知れんですな」

二人は茶菓の代を置いて、山を下りた。太田君はこれから日野の停車場に出て、汽車で帰京すると云う。日野までは一里強である。山の下で二人は手を分った。

「それじゃ」

「じゃ又」

人家の珊瑚木の生籬を廻って太田君の後姿は消えた。残る一人は淋しい心になって、西北の空を横眼に見上げつゝ渡の方へ歩いて行った。川上の空に湧いて見えた黒雲は、玉川の水を趁うて南東に流れて来た。彼の一足毎に空はヨリ黯くなった。彼は足を早めた。然し彼の足より雲の脚は尚早かった。一の宮の渡を渡って分倍河原に来た頃は、空は真黒になって、北の方で殷々々雷が攻太鼓をうち出した。農家はせっせとほし麦を取り入れて居る。府中の方から来る肥料車も、あと押しをつけて、曳々声して家の方へ急いで居る。

「太田君は何の辺まで往ったろう?」

彼は一瞬時斯く思うた。而して今にも泣き出しそうな四囲の中を、黙って急いだ。

府中へ来ると、煤色に暮れた。時間よりも寧空の黯い為に町は最早火を点して居る。早や一粒二粒夕立の先駆が落ちて来た。