Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

四十

「お雪ちゃん、着物がどうしたというのだ」

「先生、これが驚かずにいられましょうか。昨夜、久助さんが、わたしの上へかけてくれたこの一重ねの着物、これは何だと思召す」

「何だか、わしが知っていようはずはあるまい」

「そうです、誰だって知っているはずはありません、このお召の一重ねは、これは、たしかに、あのイヤなおばさんの着ていた着物でございますよ」

「え」

「久助さん、どうして、どこからこんな物を持ち込んだのでしょう」

「知らない」

「廻り合わせにしても、あんまりじゃありませんか。いけません、先生、あなたが悪いのじゃありませんか」

「どうして」

「だって、昨晩、イヤなおばさんの魂魄が、そっと外から忍んで来て、この船をゆすぶったなんておっしゃるものだから、それで、魂魄が、こんな着物をこの船へ持ち込んだんじゃないか知ら」

「ふふん、魂魄なんてものは、そんなに都合よく物を運べるものじゃあるまい」

「だって、そうとしか考えられませんわ。平湯へ来てからこっち、ほんとうに、あのイヤなおばさんにつき纏わされるようでたまりません――白骨から、わたしたちの後になり先になって、あのおばさんの魂魄がついているに違いありません」